研究室の構成メンバーの紹介 通信工学研究室の行事 研究室専用のページ 通信研究室関連のリンク
 両平面回路に両平面回路を用いた平面アレーアンテナ
 ハイブリッドマルチレイヤー給電回路を持つマイクロストリップアレーアンテナ
 無給電素子を装荷した高性能マイクロストリップアンテナ
 制御機能直交偏波制御機能を持つマイクロストリップアンテナ
 共振周波数制御機能を持つマイクロストリップアンテナ
 ビーム切り替え機能を有するマイクロストリップアンテナ

問い合わせ:nisiyama@ceng.ec.saga-u.ac.jp

 給電回路に両平面回路を用いた平面アレーアンテナ 

下図に、両平面回路技術を応用したマイクロストリップアレーアンテナを示す。
電力分配-合成器にStrip-Slot DividerとSlot-Strip Dividerを用いているため、給電回路は直線のストリップ線路スロット線路で構成され、非常に簡単な構造となる。
また、電界面(x-z)と磁界面(y-z)の面で構造が鏡面対象となり、相補性効果により、全方向で交差偏波成分が-30dB以下になる。

Microstrip Array Antenna using Both-Sided MIC's circuits


Strip-Slot Divider


Slot-Strip Divider


 ハイブリッドマルチレイヤー給電回路を持つマイクロストリップアレーアンテナ

このアンテナは、2つの両平面回路を組み合わせて2入力としたアレーアンテナである。
両平面回路に両平面回路を用いた平面アレーアンテナと同様に、構造が鏡面対象であることとStrip-SlotやSlot-Strip Dividerを電力分配器に用いているため、理論上入力ポート間の結合は零である。
このアンテナは、偏波共用、2周波共用、広帯域円偏波、円偏波共用アレーアンテナへの応用が期待できる。




 無給電素子を装荷したマイクロストリップアンテナ

マイクロストリップアンテナは、一般にインピーダンスの周波数特性が狭く、利得も6-7dBi程度である。
そこで、下図に示すように、無給電素子を給電素子上に装荷し、その素子間隔hpを適切に選ぶと、このアンテナは広帯域あるいは高利得の特性を有するようになる。


Stacked Microstrip Antenna

本研究室では、このようなアンテナについて、その特性を詳しく調べて、動作原理について検討を行っている。
その結果、以下のようなことがわかった。
このアンテナの特性は、素子間隔hpに大きく依存する。
素子間隔hpが約0.1波長の場合、周波数特性が広帯域になり、それが約0.5波長のとき利得が向上する。
素子間隔hpが約0.1波長の場合、無給電素子は、給電素子と同様のTM10モードで励振するため、複共振効果によって、インピーダンスの周波数特性が広帯域になる。
また、素子間隔hpが約0.5波長の場合、給電素子と無給電素子の空間に、主ビーム方向に伝播する電界の定在波が生じ、開放型の共振器が構成される。
この共振器にエネルギーが蓄えられ、利得が向上する。

また、下図に示すような、2つの無給電素子を給電素子上に装荷したマイクロストリップアンテナを提案し、このアンテナが、広帯域と高利得の特性を併せ持つことを示した。


3-Element Stacked Microstrip Antenna with Wide-Band and High-Gain Performances


 直交偏波制御機能を持つマイクロストリップアンテナ

このアンテナは、給電素子の中央に十字形のスロットを設け、その中心にスター形に組み合わせたスイッチングダイオードを接続した構造になっている。
ダイオード接続点eに対してパッチに正のバイアスを印加するとa-c方向のダイオードがON、b-d方向のダイオードがOFF状態になる。
この場合、パッチの電流の励振方向はA-C方向となり、偏波面がA-C対角方向に傾く。
バイアスの極性を逆にすると、電流の励振方向がB-D方向となり、偏波面がB-D対角方向に傾く。
スロットの大きさを調整するとこで、偏波面の傾きが45度となり、バイアスの極性により直交偏波制御が可能となる。
下図に示すように、この技術はスロットアンテナにも応用が可能である。


Polarization Controllable Microstrip Antenna



Polarization Controllable Slot Antenna


 共振周波数制御機能を有するマイクロストリップアンテナ

このアンテナは、給電素子の中央に矩形のスロットを設け、その中心に向かい合わせにダイオードを装荷した構造のマイクロストリップアンテナである。
ダイオードにスイッチングダイオードを選んだ場合、印加するバイアスの極性によって、ダイオードのON-OFFの状態が変化する。
ダイオードがONの状態の場合、表面電流はダイオードを通過する経路で励振し、OFFの状態の場合はスロットを迂回する経路で励振する。
表面電流の励振する経路長の違いで、共振周波数が異なる。
すなわち、ダイオードのバイアス電圧の極性で、共振周波数の切り替えが可能になる。
一方、装荷するダイオードにバラクタダイオードを選ぶと、その容量値によって、励新経路の電気長が変化する。
バラクタダイオードのバイアスの電圧で、共振周波数を連続的に制御することが可能である。


Resonat Frequency Controllable Microstrip Antenna

 ビーム切り替え機能を有するマイクロストリップアンテナ

本アンテナの構造を下図に示す。
このアンテナでは、スイッチングダイオ−ドに印加するバイアス電圧の極性の切替えにより、無給電素子(# 1、# 2) の共振周波数を可変できる。
これにより素子間の電磁結合が変化し指向性の制御が可能となる。
左右の無給電素子のダイオ−ドに同じ極性のバイアス電圧を印加すると、主ビ−ムは正面方向を向き、左右の無給電素子のダイオ−ドに異なる極性のバイアス電圧を印加すると、主ビ−ムは左または右に傾く。


Directivity Controllabl Microstrip Antenna